新潮選書「弱者の戦略」（稲垣栄洋著）を読んで

稲垣栄洋氏は静岡大学大学院農学研究科教授。農学博士。専門は雑草生態学。
動植物の生存競争の視点から「弱者の戦略」を書かれています。

自然界は「弱肉強食」である。
強い者だけが生き残り、弱い者が滅びゆく。
それが自然の厳しい掟である。

同じ種類の中にも、強い者もいれば、弱い者もいる。
「ずらす」ことは同じ種類の中でも有力な戦略となる。

角が大きい方が戦いに有利である。
強くなければエサもメスも手に入れることはできないのが
カブトムシの世界。

中途半端に角の大きいカブトムシは他のカブトムシと戦ってしまう。
勝つことができるのは大きな角のカブトムシだけである。
中間的な角のオスのカブトムシは子孫を残すことができない。

カブトムシのオスは明け方近くに活動する。
角の小さなオスは真夜中から活動を始める。
まだ他のオスが眠っているうちに、
エサもメスも手に入れてしまう作戦なのである。

小さな角のオスはしっかりと子孫を残す。

●「町コン」五十嵐勉（五十嵐ダルマ）
「ずらす」
自分の立つ位置（ポジショニング）を競争相手と変えて、競争を回避する。
競争回避の戦略。
戦わずして勝つ作戦。

中途半端なカブトムシは自分の力と競争相手の力を比較することなく、
無謀に戦ってしまう。自分より強い者には勝てない。
つまり、「無策」。

カブトムシにも「戦略」のあるカブトムシと「戦略」のないカブトムシがいることを知りました。
中小企業経営者でも同じです。

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