「人手不足と最低賃金」
7月29日付日経、朝日ら、新聞は、
「最低賃金1000円以上」という記事。
2023年度に全国平均で時給1002円と決まり、
首都圏、関西圏を中心に8都府県で
実額1000円以上になる見通し。
最低賃金を決める際、
1.労働者の生計費
2.一般的な賃金水準
3.企業の支払い能力
という3要素を考慮すると定められている。
深刻な人手不足への対応で
企業が従業員の待遇改善に動き、
地方の中小企業にも賃上げの機運が高まり、
中小の賃上げ率は約30年ぶりの水準に。
ある地方の中小の食品製造業は、
初任給を引き上げ、
基本給を底上げするベースアップに踏み切った。
狙いは人材採用市場での競争力向上のため。
最低賃金時給1000円越えしても、
海外に比べて見劣りする。
日本総合研究所によると、23年6月時点で
ドイツ1749円、
フランス1679円、
米カルフォルニア州2091円。
外国人の技能実習生は
最低賃金近くで働いている場合が多い。
外国人労働者の獲得競争でも不利になる。
コストコホールセールジャパンは
時給1500円を掲げ、
人材獲得で優位に立とうとしている。
財務省の法人企業統計調査によると、
売上高経常利益率(22年10~12月)は、
資本金10億円以上の大企業は8.1%、
1億~10億の中堅企業は4.9%、
1000万~1億円の中小企業は4.3%。
1000万円未満の中小零細企業の情報はないが、
4.3%以下と推測する。
小さな会社ほど、
売上高経常利益率は悪い傾向にある。
(但し、資本金の大小で利益性の善し悪しは決まらない)
人手不足が深刻になった昨今、
低賃金の労働力に頼った経営は成り立たない。
さらなる賃金上昇を想定し(最低賃金2000円~3000円)、
生産性を高める努力が重要になる。
実は中小零細企業は無駄の宝庫。
トヨタの言葉を借りれば、「濡れた雑巾」。
絞れはいくらでも出る。
その分、すぐに生産性は高まる。
今まで当たり前にやっていた作業が
無駄だったり(工夫すれば時短になったり)、
ITを使えば瞬時に終わる作業もある。
また、
中にはすぐ処理せず、
後回しする社長がいる。
そういう人は仕事が溜まり、
仕事が遅い。見えないロスが流れている。
それが生産性を低くしていることに気づいていない。