「従業員は自分の働きを10倍高く考える」
従業員の研修で
「あなたの会社の従業員1人当たりの純利益はどの位あるか」
と聞いてみるとおよそ10倍から20倍の数字を言う。
あらゆる業界で行っても近い数字になる。
これはどういうことかというと、
従業員は、会社はもっと儲かっていると思っている。
これをそのまま放置すると不平不満の元になっていく。
「自分はこれだけ頑張っているのに給料が少ない」、
「自分はこれだけ努力しているのにボーナスが少ない」
などと考える。
言い換えると、
従業員は自分の働きを10倍高く考えている。
こうなると社長が出した経営方針を守らなくなってしまう。
まずは中小企業の利益実態を
従業員に正しく教育することになる。
中小の黒字企業の1人当たりの粗利益は8,179千円(A)、
1人当たりの経費は7,294千円(B)、
1人当たり税引き前利益は885千円(C=A-B)。
(ランチェスター経営資料より)
損益余裕率(C÷A)=10.8%。
平均的な黒字企業では粗利益の9割は経費でなくなり
1割が利益として残るだけ(この後税金が差し引かれる)。
特に1人当たりの経費を教える。
従業員は自分の給料はわかるが
その他の経費は知らない。
企業はそんなに儲かっていないことを教える。
ある卸売業の話。
コロナの影響で今期の売上は1割減少となったが、
社長はなんとかして夏のボーナスを従業員に支給した。
しかし、従業員の反応は良くなかった。
「自分は頑張ったのに・・・」という空気が生まれた。
これからは誤解がないように、
1人当たりの粗利益、1人当たりの経費を出して、
当社の利益実態を明らかにしようと決めた。
またある会社は、コロナの影響で売上は激減。
今はようやく回復基調になった。
コロナ期間中を含め、
独自の従業員教育を進めている。
従業員にも考え方、
価値観の違いが分かってきた。
厳しい環境に置かれている会社に対し
率先して協力してくれる人が出てきた。
一方、9時5時だけの人もいる。
今回のコロナは
マイナス面のことが多かったが、
リーダーになる従業員を発見できたのは
大きなプラスだった。
従業員だけでなく
社長も能力は10倍以上高く見積もっているかもしれない。
気をつけないといけない。