「馬の骨」
靴製造卸・小売業(従業員10人)L社の話。
(2011年第3回ベトナム経済視察ツアー時、L社ベトナム工場を見学)
L社は、靴製造卸が主力でした。
大手アパレルメーカーの靴をOEMで
自社ベトナム工場や中国(主に台湾企業)の協力会社で製造しています。
売上は年々増加してきました。
しかし変調は安倍政権になり、
円高(80円)から円安(110円)になったこと。
原価が上昇して、収益を圧迫してきました。
得意先に値上げ交渉したものの、
思うように売れず、逆に値下げの圧力が増しました。
「価格決定権がない!」
L社長は、OEMをやっている限り、
我々に価格決定権を取る事が出来ない。
「自社ブランド」。
脳裏に浮かんだ。
どう作ればいいか・・・。
まず、市場調査をしてみました。
高級品は4万円。大衆品は4千円。
2万円クラスが手薄であることに気がつきました。
商品開発を進めました。
さて、営業戦略です。
商品3分に売り7分。
L社は、OEM企業としての商品力は確かです。
しかし自社商品として消費者にとって
どこの馬の骨かわかりません。
1つは広告戦略。
客層は、25才~40代の女性。
客層が読む雑誌に広告を打ち、
認知度を高めます。
靴単独ではなく、洋服と靴。
着たい洋服に合う靴の提案。
2つ目は、雑誌社の編集部に直接訪問してプレゼンをします。(接近戦)
3つ目は、期間限定(2年間)の直営店舗の出店。
これらの活動により、
徐々に認知度が高まっていきました。
自社ブランドを出すことによって、
大手流通業者や大手物販業者の目に留まりました。
新たなOEMの仕事の受注に発展していきました。
ここではある程度の価格決定権を持つことができました。
格言があります。
「難しいことにはそれと同等かそれ以上の良いことが隠されている」。
また、
「人の命と会社の命に別状がなければ、試しにやってみる」。
L社長の積極姿勢に感服です。