「赤字会社、社長の決断」
利益は、
社長が作った経営システムの有効性を知る唯一の方法。
赤字であれば、
経営のやり方に構造的な欠陥があることを意味する。
A社は、卸売業者。
前期は大きな赤字を計上し、
所有不動産を売却してなんとか事業継続をすることができた。
粗利益/人-経費/人=経常利益/人。
黒字会社の業界平均の1人当たりは、
1,000万円-850万円=150万円。
それに対してA社は、
800万円-900万円=▲100万円。
A社は粗利益で業界平均より200万円少なく、
経費は50万円多く、100万円の赤字。
これは何を意味しているか。
経営目標を間違い、経営戦略を間違えて、
従業員が一生懸命仕事をすると、
経営効率が著しく低下する。
1人当たりの粗利益が
1年で100万円~200万円も減少する。
この損失は目で見えない。
調べた結果、
大口の不採算顧客があった。
営業マン、事務職員、倉庫関係の従業員たちは
真面目に従事してくれていた。
利幅がなく、運送費もかさみ、赤字取引だった。
A社長、
「従業員は一生懸命働いている。
それがただ働きになっていた。
全ては、私が何も手を打たなかったからだ」。
『戦略(社長)の失敗は、戦術(従業員)ではカバーできない』
『社長の目標の定め方の善し悪しが、業績を決める』
A社長は、
直ちに大口不採算顧客を訪問し、取引解消を申し出、
メーカーと直接取引を紹介した。
その余った人員を現在成長している黒字事業に投下した。
価値(粗利益)=資本の力×戦略知識×戦術技術×仕事時間。
目標・戦略を間違えると戦術技術も仕事時間も大きな損失になる。
A社長は大きく胸をなでおろした。