「花王とユニ・チャームを比較してみる」
9月27日付日経新聞に
花王とユニ・チャームの比較の記事があった。
花王の業績低迷が続いている。
海外事業の不振などで
全社的な構造改革を迫られている。
ライバルのユニ・チャームに
時価総額で後れを取り、
正念場を迎えている。
社長は、
「日本市場と中国関連需要への偏重、
売上・シェア拡大を優先し過ぎた。
戦略転換の遅れも重なり、
花王の弱みが顕在化した」
と不振の原因を語る。
紙上では、
事業領域の広さがもたらした
「戦力の分散」が挙げられている。
日用品、飲料、薬品など多岐にわたる
消費者向けから企業向けの化学品まで幅広い。
経営資源投入が中途半端になり、
商品の競争力が低下した。
中国では
紙おむつで現地企業と価格競争に陥り、
生産撤退に。
一方、
ユニ・チャームは紙おむつ、生理用品など
不織布単一の素材でできる製品が売上高の大半を占める。
強みのある事業に開発から販促まで経営資源を集中。
高付加価値を確立、
価格競争に巻き込まれない構造を築いた。
花王、ユニ・チャームの22年12月期の決算書を比較。
(単位:百万円)
花王:売上1,551,059 売上総利益548,342
販管費440,910 税引前利益115,848
売上総利益率35% 売上販管費率28% 売上利益率7%
ユニ・チャーム:売上898,022 売上総利益328,600
販管費209,034 税引前利益115,708
売上総利益率36% 売上販管費率23% 売上利益率12%
売上の規模は花王の方が大きい。
粗利益率(売上総利益率)は大差ない。
販管費率が花王の方が5ポイント高い、
そのため利益率も5ポイント低い。
この数字だけでは良くわからない。
1人当りの生産性を見てみる。
花王(43,594人):
1人当り粗利益12.5、販管費10.1、税前利益2.6。
ユニ・チャーム(17,981人):
1人当り粗利益18.2、販管費11.6、税前利益6.4。
ユニ・チャームの方が1人当りの粗利益が6百万円弱高い、
販管費も1.5百万円高く、税前利益は4百万円弱高い。
販管費が高いのは花王より平均給与が高いため。
それ以上に付加価値の高い商品を提供していることがわかる。
ここに高収益企業の秘密がある(現地のニーズに合わせた商品開発)。