「良いものを高く」
町コン経営塾銀座校塾長の曲渕税理士が9月にイタリア視察に行かれ、
視察された企業の話をされました。
イタリアの元気な革製品製造や繊維製品製造の小規模企業(ファミリー企業)は、
過去に日系企業や中国企業の台頭で厳しい時代がありました。
しかしまともな競争を避け、高品質・高価格帯へ進出して、頭角を現しました。
規模を追わず、1人当たりの利益を高め、
従業員の給与も高く、
経営陣と従業員は家族のような関係。
「足るを知る」。
みんなが幸せ。
ここには良いものを安く売るという発想はありません。
私が10年来おつきあいしている日本酒製造会社があります。
日本酒の市場が減少している中、
小規模ながら4年連続増収増益を続けています。
昨年10月に商品の価格を値上げしたにもかかわらず、好調を維持しています。
会社は粗利益で生きています。
1人当たりの粗利益を高めること。
しいては、1人当たりの経常利益を同業者比3倍にすること。
そのためには大手と同じことはしないこと。
高品質・高価格帯。
問屋を通して、
ここの日本酒を扱いたくて、
ディスカウント・ストアの社長が工場を訪問してきました。
日本酒製造の社長は、
工場を案内しながら、酒造りの思いを伝え、
低価格では卸すことはできないと応えました。
良いものを低価格で売ると、
1人当たりの粗利益が低くなり、
人件費までコスト削減に追い込まれる危険性があります。
そうなると、
会社もそこで働く従業員も不幸せになり、
地元に貢献もできなくなります。
考えさせられます。
「良いものを安く売る」。
日本では良いことのように思われてきました。
しかしこのために、企業も人も町も疲弊してきました。
「良いものを高く」。
商品のレベルを上げ、
さらに売り方のレベルをあげないと実現しません。
幸せになるために。