「結果にコミット、できなくなった」
11月17日(土)日経新聞マーケット欄の
銘柄診断はライザップグループ。
16日の札証アンビシャス市場でライザップグループ株が
2日連続で制限値幅の下限まで下落した。
今期の連結最終損益は従来予想の159億円の黒字から一転、
70億円の赤字に転落する。
新規M&Aを凍結することを決め、
今期に見込んでいたM&Aによる「負ののれん」計上をとりやめる。
営業利益(A) 負ののれん益(B) B/A 営業CF 配当総額(百万円)
17/3期 9,604 5,831 60.7% 176 1,542
18/3期 12,048 8,791 72.9% 88 1,861
(有価証券報告書より)
営業利益の大半を負ののれん益で占めている。
買収した企業の純資産より安く購入したときに発生する差額の利益。
実際に現金収入は発生していない。
悪く言えば、合法的な粉飾決算。
これに味を占めて、
純資産は豊富で、
業績不振企業を買収するようになった。
営業CF(キャッシュフロー)から配当金を払うことはできない。
借入金で支払っていた。
19/3期は無配当に。
本業のフィットネスジムは好調だが、
85社の関連企業の大半が足を引っ張った。
「非関連多角化は身の破滅」とはよく言ったもの。
力が分散してどれも弱くなる。
狂者の戦略と言われている。
昔、
大企業がコングロマリット
(相互に関連のない異業種部門の企業を買収し、多角的経営をいとなむ複合企業)
を目指していたが、各業種・業界に強者が現れ、ことごとく消えていった。
中小企業で喩えると、
多くの商品をかかえているが、
強いモノがなく、
どれも弱く、競争相手に負けている企業。
目先の売上、
目先の利益を目指すために陥りやすい失敗。
核となるものがなく、
迷走している状態。
歴史に学び、
経験に学ぶと
強い企業は、「狭く、深く」。
事業を絞り、深く掘り下げる。
そうなると、
「強くなり、いずれ一番になる」。
強くなる、一番になるには、弱いものは切り捨てる。
これがなかなかできない。
売上が減るのを怖がる。
ライザップグループも、
弱いものを切り捨て、
強いものに集中できるか。
ここで決まる。