「経営は完全な実力主義の世界」
4月3日付日経新聞、
「再建中のシャープは4月2日、
台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入る契約に調印した」。
鴻海の郭台銘董事長は、
液晶事業を中心に成長投資を加速し、
今後2~4年で経営再建を目指す方針を示した。
記事「鴻海・シャープの勝算」では、
「世界は『規模の革命』が起きた。
鴻海は00年以降、世界で家電や部品の工場を買い集め、
15年間で売上高を約50倍にした。
スマートフォンの生産規模は年間2億台以上と
日本の国内生産の100倍の水準。
アジアの企業とはギガ(10億)とメガ(百万)ほどの差がついたのに
日本は競争の土俵を誤り続けた」。
「米欧企業も先を行く。
独シーメンスや米GEは家電事業を売却、
発電など社会インフラとIOT(モノのインターネット化)を
組み合わせたサービス産業型の高収益な経営モデルに転換しつつある」。
ランチェスター経営では、
「経営は完全な実力主義になっている。
会社自体は固定給なしの歩合給で運営されている。
しかもどんな業界にも強い競争相手がいる中、
囲碁やゴルフのようにハンディは一切ない。
競争条件が不利な会社が特別な対策をとらなければ、
強い会社から圧迫を受けて必ず苦戦する」。
まさにシャープを見ていると経営の原則どおり。
4月3日の記者会見でシャープの高橋社長は、
「既に工場を共同運営した経験があり、
高度な技術を持つことも分かっている。
鴻海のスピードとパワーはすさまじい。
融合すれば大きな潜在能力があると感じた」。
第602号五十嵐レポート(平成25年2月25日)「崖っぷちの家電メーカー」、
当時シャープ中堅社員は
「(業績不振の原因のひとつ)日本特有の風土。
イエスマンが出世する。
意思決定が遅い。
決裁に2ヶ月かかる。早くなったといっても2週間」
と語った。
戦略実力が高い人が必ずしも経営者になるとは限らない。
これは我々にも言える。
戦略実力が高くなくても中小企業の社長にはなれる。
組織は軽装備。
気づいたらすぐする。
経営には
スピードと情熱・熱意・向上心(パワー)が大事である
と再認識。
シャープの事件は、
日本人にとって、
一つの時代・日本企業の神話が終わったということ。