「粗利益の有利な補給源とは」
ネット通販を除いて、
中小企業(特に小さな会社)は
営業地域の決め方が重要である。
卸売業や業務用販売業など、
仕入価格と売値がほぼ決まっている業種は、
営業地域の決め方で付加価値をつけなければならない
(介護事業も同様)。
一般的に営業地域を広げていくと、
売上が多く上がり、
利益も多くなると考える。
そうすると移動時間が多くなる。
疲れるから仕事をしたように思う。
ある企業研修で、
一つの事業部の営業担当者たちに1ヶ月間の
「移動時間」「社内業務時間」「面談時間」
を調べてもらってみた。
平均すると、
粗利益を稼ぐ「面談時間」は20%前後、
「移動時間」は45%前後、
「社内業務時間」は35%前後だった。
これでは黒字なったとしてもほんのわずかである。
移動時間は、
営業のために必要だけれども、
粗利益は生まれない。損失が生まれるだけ。
特定の地域に顧客を多く作り、
密集度を高めると、
移動時間は少なくなる。
粗利益が増え、
経費は少なくなるため、
経常利益は増える。
根本的に業績を良くする(利益を増やす)には、
同業者より有利な条件で
粗利益が補給される根拠を作らなければならない。
それが営業地域の決め方になる。
社長が理解し、
従業員に実行してもらう。
何も知らなければ、
営業地域を狭めると、
顧客が減り、売上が落ちるのではないかと思う。
「利益性の原則」を説明して、
理解し、断行してもらう。
実際に行った社長が言うには、
「顧客は減らなかった。
逆に新規顧客が増えてきた。
当然、移動時間が少なくなり、
赤字から黒字に転換した。
地域を狭めていないときは
人手不足が常態化していた。
地域を狭めたことで
顧客が増えたにもかかわらず、
人的に余裕が生まれた(人手不足の解消)」。
やらないことを決める。
営業地域を決めたら、
その範囲の外は営業しない。
ここがブレると計画が崩れていく。
業績の上がらない会社の社長はここに陥る。
最後までやり通す断行能力が問われる。