「教科書に書いてあることを信じない」
10月1日、京都大学特別教授の本庶佑(ほんじょうたすく)氏が
ノーベル医学生理学賞を受賞した。
1時間ほどの記者会見を観て、衝撃を受けた。
生命科学はまだよく解っていない。
AIやロケットは、デザインがあって、明確な目標をかかげ、
そこに向ってプロジェクトを立ち上げることはできる。
生命科学は、何もわかっていなくて、
デザインを組むことが難しい。
応用だけやると大きな問題が生じる。
何が正しいのか、何が重要なのか、
解らないところでこの山に向ってみんなで進もうというのは、
ナンセンス。
多くの人が沢山の山を踏破して、
そこに何があるか、
まず理解した上でどの山が本当に重要な山なのか調べる。
研究に関しては、
自分が知りたいこと、
好奇心を大事にする。
簡単に信じない。
雑誌「サイエンス」や「ネイチャー」に出ているものの9割はウソ。
10年経って残っているものは1割程度。
自分の目で確信ができるまでやる。
自分の頭で考えて、納得するまでやる。
これが私のサイエンスに対するやり方。
小中学生に対して、
何か知りたい、
不思議だなという心を大切にする。
教科書に書いてあることを信じない。
常に疑いを持って、
本当はどうなっているんだろうという心。
自分の目で物を観る。
そして納得するまであきらめない。
ランチェスター経営の商品戦略のテキストには、
「業歴が古くなると、
業界のやり方に同質化していくので、
作り方に差がなくなる。
こうなると弱い会社ほど
強い会社から圧迫を受けて苦戦し、
ジリ貧になる。
こうならないためには、
業界で常識と思われているものを疑ってみる。
ホントかなー。
何か思いついたら、
人の命と会社の命に別状がなければ、
試しにやってみる」
と書かれている。
本庶氏は最後に、
「実験の失敗は山ほどある。
大きな流れが『こうだ』と思っていたら、
断崖絶壁に落ちてしまったということはない。
崖に行く前に気づかないといけない。
サイエンスは段々と積み上がっていく。
端と端をつなぐようなつなぎ方をすると危ない。
その間に沢山、互い違いにつないでいくことで、
正しい道がどうか解ってくる」
と締めた。
自分を信じ、常識を疑う。
小さな失敗はあるが、大きな流れは間違わない。