「戦略の欠如」
4月11日付日経新聞、
「企業倒産3年ぶり増加」という記事。
東京商工リサーチが発表した
2022年度全国倒産件数は
前年度比15%増の6880件と3年ぶり増えた。
実質無利子・無担保の
「ゼロゼロ融資」の返済が本格化、
物価高や人手不足も追い打ちとなり、
3月単月では前年同月比4割増と異例の伸び。
4月13日付朝日新聞、
「介護施設3割倒産の可能性」という記事。
物価や光熱費が高騰するなか、
介護施設などの約3割で
廃業や倒産の可能性があることがわかった。
介護サービスは、
国が決める公的価格で報酬が支払われるため、
事業者は価格が転嫁できない。
人員削減や賞与の減額を強いられる
ケースも広がり経営に行き詰まる
事業者が出てくる恐れが出ている。
「このままでは数年で
事業の廃止や倒産の可能性がある」
と答えた事業者が27.4%となった。
本当だろうか?
介護事業者の経営者に聞いてみた。
経営者曰く、
「以前は赤字経営だったが、
直近1年は黒字化になり経営が安定してきた。
確かに取り巻く環境は厳しいと言われ、
同業者の事業所撤退や閉鎖をよく聞く。
一方当事業所が
なぜ利益を出し続けているか考えてみた。
経営の仕組みを改善した
(地域戦略に沿って、営業地域を狭めた。送迎コストの削減)。
デイサービスでは、
飲食代や遊戯・工作代を顧客から徴収するようにした
(顧客に保険外の部分で価格転嫁できた)。
今までスタッフには
全員同じ作業をさせていたが(非効率)、
スタッフの特性に合わせ役割分担し、
適材適所に配置し、生産性が高まり、
時間的余裕が生まれ、営業できるようになった。
今まで見学者ゼロ、新規顧客ゼロだったのが、
見学者が増え、その中から新規顧客が出始めた」。
「大手は事業所を統廃合して、
一箇所に事業所(中心地)を集約する動きがある。
我々が営業している所は
中心地から外れている。
大手はいなくなった。
後は零細事業者だけ、
当事業所にとって地域1位になれるチャンス」。
帝国データバンクでは
多くの倒産を「不況型倒産」と呼んでいる。
違和感を感じる。
不況型ではなく、
「戦略の欠如型倒産」である。
多くの中小企業は「戦術」が経営だと思っている。
「戦略」で経営は大きく変わる。