「思いがけない出会い」
1月6日付日経新聞、「経営の視点」は
「不況で成長 京都の大垣書店」という記事。
2025年は巳(み)年。
脱皮を振り返す蛇は執念深く、
「再生と復活」を象徴する存在と言われる。
京都市に本社を置く大垣書店は、
出版不況下でも書店を再生しながら
成長を続ける企業。
現在の出版市場は
ピークだった1996年に比べ6割減少、
書店数も半減。
それでも大垣書店は成長している。
大垣書店は創業80年を超える。
90年代前半は数店舗だけを運営する会社だった。
年商10億円規模になったら
仕入れ交渉も良くなると聞き、
店を増やそうとした。
京都は大学生が人口の10%程度を占め、
他の地域よりも「肥沃」な市場。
イオンの依頼でショッピングセンターに出店、
撤退した書店の跡に入店、
賃料条件を交渉し、有利な条件で入店、拠点を増やした。
1.本の並べ方を工夫。
2.他店にない本を置く。
3.接客サービスの向上。
特別なことをせず、
当たり前のことをしてきた。
地道な努力が実を結び、
京都で基盤を固めた(京都に23店)。
他の地域からも出店要請が増えてきた。
大垣会長は、
台湾や米国、ドイツなど
海外の書店を事あるごとに視察する。
大きな書店や小さい書店でも
必ずあるのがカフェ。
なぜカフェがあるのか聞いてみた。
本を買えば、すぐ読みたくなる、
そこにカフェがあれば飲みながら読む。
またカフェではコミュニティが生まれる。
それから大垣書店は
必ずカフェを併設する。
イベントスペースも作る。
書店は人が集まる所になる。
事業を拡大したいわけではないが、
書店の後継者難で引き継ぐケースが多い。
東京の麻布台ヒルズにも出店。
本当は東京に出店したくなかった。
森ビルから強い要請を受けた。
「京都本店のような店を出してほしい」。
麻布台ヒルズ店で一番売れているのは児童書。
富裕層が多く、
子どもへの投資を惜しまない。
大垣会長は、
「在庫ではネットに勝てない。
思いがけない出会いの場を提供。
リラックスして、考えるきっかけを作ってもらえればいい」。
「麻布台ヒルズ店」に行った。
本の並べ方が他店とは違う。
カフェ店などが併設されている。
時間があって、
本に囲まれたい人には実にいい。
落ち着く。
買うつもりはなかったが、
3冊買ってしまった。
思いがけない出会いだ。