「イノベーションのジレンマ」
「イノベーションのジレンマ」 という言葉がある。
大企業が新興企業の前に力を失う理由を説明した企業経営理論で、
クレイトン・クリステンセン氏が提唱。
大企業にとって、新事業や技術は、小さく魅力ない市場に映る。
既存商品の優れた部分を改良することに注力し、
顧客の別のニーズに気がつかない。
大企業は、
新たな特徴のある商品を売り出し始めた新興企業に、
大きく後れを取ってしまう。
ヤフーや楽天にとっては、
中古流通サイトの「メルカリ」であり、
ファッション通販サイトの「ゾゾタウン」、
対話アプリの「LINE」である。
スマホの登場で需要者と供給者がつながりやすくなった。
「所有」から「利用」(シェア)へ。
新品から中古品へ。
顧客の商品・サービスに対する買い方が変わってきた。
新たな企業がどんどん出てくる機会が多くなる。
ある業界に特化した零細機械商社Aの話。
顧客は主に公共・民間の研究機関。
競争相手も多く、価格競争に巻き込まれ、
顧客との立場は常に「しもべ」状態だった。
1年前、
研究機関が使用済みの機械の処分に困っていることに気がついた。
研究機関はお金を払って処分していたものをA社は安く買い取った。
中古機械専門サイトを立ち上げ、
そこに載せると瞬く間に売れていった。
中古機械のニーズがあることを再認識した。
新品を販売していたときの粗利益率は10%~12%だったのが、
中古品では40%~90%と利幅が高い。
中古機械専門サイトを立ち上げたことで
今まで会うことのできなかった研究機関の責任者に会えるようになった。
顧客との立場も変わった。
顧客が頭を下げて、
喜んで購入してもらえるようになった。
競争相手だった商社も
中古品の問い合わせが来るようになり、
販路先になった。
東京都内は、
同業者が全く中古機械を扱っていないこともあり、
A社1社の独壇場。
「利は元にあり」。
中古機械の仕入ルート開拓に余念がない。
小さい市場でもあり、大手の参入はしずらい。
個人も企業も商品・サービスの購入の仕方が変わってきた。
小さい企業にはチャンスである。