「アホのふりをする」
孫子の兵法に、
「戦争とは、国家の一大事である。
人の死生を決める分岐点であり、
国家の存亡を左右する道であるから、
これを深く洞察しなければならない」
と書かれている。
そして基本は、
「戦わずして勝つ」と言っている。
戦わずして勝つための方法として
「兵は詭道(きどう)なり」を重視している。
「詭」は偽り。
つまり相手をだますこと。
経営に置き換えると
単純に「だます」ということはまかり通らない。
ここでは顧客や仕入先等をだますのではなく、
競争相手のことになる。
競争相手に悟られないように密かに行動したり、
儲かっているのに「儲かっていない」という情報を流す。
一方、
強い競争相手は、
相手が今までにない戦い方をしてきたら、
すぐに対応する。
マネをすることで同質化させ、
相手を弱らせる。
飲食店の話。
自社の規模の20倍ほどある企業体(強者)が、
ある地域に数店舗を出店していた。
そこに小企業が出店した。
事前に競争相手の数店舗を視察して研究した。
そして競争相手の強みと弱みを把握した上で、
自社の強みを築き上げていった。
1年経過後、
20倍の規模の企業体(強者)の数店舗の一部が閉店となった。
小企業の店が多くの顧客から支持されたことになる。
小企業は、弱者の戦略で一点集中。
強者は多角化経営で力が分散。
一つのことに経営資源を集中できない。
そこを突いた。
強者はだまっていない。
強者は小企業の店舗に客として何回も足を運び、
研究しにきた。
そして
強者のトップは一緒に飲みに行こうと誘ってきた。
弱者の戦略の一つ、
「同業者の強者とは会わない」。
バカ殿ようにアホのふりをして、
話をかみ合わせないように、
のらりくらりと接触を避ける。
メディアに出ることも極力避ける。
小企業が大企業にまともには戦えない。
相手が本気になって潰しにくることを回避しなければならない。
そのためには脅威を感じさせてはいけない。
安心感を与えるためにアホになる。
これも生きるための知恵。
アホのままでどこまで伸ばせるか見ものである。