「ニッチとは」
農学博士・稲垣栄洋著「弱者の戦略」の中に
「本当のニッチ戦略」がある。
ビジネスの世界に
「ニッチ戦略」という言葉がある。
もともとは生物学で使われたものが
マーケティング用語として広まった。
「ニッチ」は装飾品を飾るために
寺院などの壁画に設けた「くぼみ」を意味する。
一つのくぼみに、
一つの装飾品しか掛けることができないように、
一つのニッチには
一つの生物種しか住むことができない。
ニッチとは単にすきまを意味する言葉ではない。
すべての生物が
自分だけのニッチを持っている。
世の中のすべての生物が
ナンバーワンになれるニッチを探し求め、
他の生物とニッチが
重ならないようにニッチをずらしていく。
2月14日付日経新聞、
「超音波 ニッチ分野で勝つ」という記事。
本多電子(愛知県豊橋市)は
釣りの愛好家が購入するレジャー用船舶に
搭載する魚群探知機で国内シェア7割。
価格は1台数万~数十万円。
レジャー用の船舶に的を絞ることで
数百万円する大型漁船用の魚群探知機を手掛ける
国内外の大企業と棲み分ける。
水位が深い海域を好む
キンメダイを見つける時は低い周波数、
浅い所にいるシラスを見つける時は
高い周波数といった具合に
顧客の釣りたい魚に適した
探知機を提供できるよう30機種をそろえる。
帝国データバンクによると、本多電子の業績は、
2021年9月期売上57億円、当期純利益4.9億円、
従業員数159名、1人当り純利益3百万円。
精電舎電子工業(東京都荒川区)は
超音波の振動で発生する熱を利用して
モノをつなげる超音波溶着幾に強く、
国内シェアは約4割。
EV電池関連メーカーなどの新規顧客を開拓。
過去5年間で車向けの機種の売上は2倍になる。
帝国データバンクによると、
2020年9月期売上42億円、当期純利益2.9億円、
従業員数130名、1人当り純利益2.2百万円。
大手が手掛けない、
大手がやりたがらない、
大手が気づいていない市場は意外とある。
すべての生物は自分だけのニッチを持っているらしい。
では企業も自社だけのニッチがあるはず。
それに気づき、伸ばして、
ナンバーワンを取る。
あきらめてはもったいない。